チラシの裏の覚書。

個人的なナレッジノートです.φ(..)

"あの日もそうでした。 あの日も御丁寧な言葉漬けの状態でね、 わたしゃ、飛行機に乗ったんですが。 さぁ、それが着陸ということになってね、 機長より不意のアナウンスがありまして。 飛行場から、 緊急なお知ら..."

“あの日もそうでした。
あの日も御丁寧な言葉漬けの状態でね、
わたしゃ、飛行機に乗ったんですが。
さぁ、それが着陸ということになってね、
機長より不意のアナウンスがありまして。

飛行場から、
緊急なお知らせがあったといういことですよ。
聞けばですよ、
なんでも、
滑走路にね、
物が置かれているので、
着陸を見合わせるように指示があったという事でね、
これより上空を旋回して空中で待機いたしますということでしたよ、

「お急ぎのところ、お客様方には、まことに御迷惑をおかけして申し訳ございませんが…なんだかんで…どうのこうので…」とね、
御丁寧な調子で、くどくどありましてね、

しかしながらね、
まぁこちらとしてはですよ、
仕事には余裕を持ったスケジューリングをする方ですから、
多少遅れたところで行路に支障はないわけでね、
それよりかは、もう、
事故の無いのが一番ありがたいに決まっているわけですよ。
ちゃんと無事に降ろしていただければなんの文句もないわけで、

それでもね、
30分くらい上空を旋回していましたかしら、
さすがに、
「あら、わりに長いね」と思う程度にはね、
旋回していましたね。

でまぁ、その後、
滑走路の片付けも無事に終わったのでしょうね、
その旨、また機長から例の調子でご丁寧なアナウンスがありましてね、

でまぁ、こちらとしては、無事に降ろしていただけさえすれば、
なんの文句も無いどころか、感謝なのに、
いちいち詫びていただかなくても…、
なんてなことを思ってるうちに、
飛行機は見事な腕前で滑走路に着陸いたしまして、

そうしましたら奥さん、
今度は、いわゆる例のね、
自走式のタラップというんですか?
あの飛行機の出口を空港ビルに直結させる廊下あるじゃないですか、
あれが、なんだかの事情で、こちらへ向かうのが遅れていますというアナウンスがね、
また機長の方から、丁寧な口調でね、くどくどとありまして、

「お急ぎのところ、お客様には、えぇ~」「大変御迷惑をおかけして、どうのこうのぉ~」と、「え~」とか、「う~」とか、無秩序に交えながら長々とありまして、
で、もって、いっこうにドアは開かない。

その辺りからでしょうか?
妙な感情が私の胸の中に湧き立って来る予感がありましたね、
なんなんでしょう?
苛立ちですか?

いや、
でもね奥さん、
苛立つ理由なんかないんですよ、どこにも。

だって私は、時間に余裕があるんだし、
機長は見事な腕前で着陸してくれたし、
なんの文句もない、
ただね、タラップがこないの、
それもね、結局、30分くらいこないの、

でね、
来ないから機長も気を使ったのかね、
盛んにアナウンスを入れてくれるんだけど、
そのアナウンスが例の御丁寧なアナウンスでしょ、

「お急ぎのところ、お客様には大変ご迷惑を…あぁ~、こう~なんだかんだ…、」と。

それを聞くうちにね、
どうしたのかしら、
イラつく自分がいるのよね、

いや不思議なの、
自分でも分からないのよ、
私がイラつく動機が。

だって、あんなに丁寧に謝ってくれてんのによ
それに対して怒りが出てくるってどういうことよ、
もうもう自分でも自分の感情の意味が分からないのよ。

そうこうしてたらね、
また、機長からのアナウンスが入ってね、

タラップはもう来ません、代わりにバスが来ますっていうのよ、
そして、
「お急ぎのところ、お客様には大変御迷惑をおかけして、まことに申し訳ございませんが…、」ってまた始まんの。

でね、
気がついたらね、
猛烈に腹を立ててる自分がいたの。

もうね、自分でも分からないのよ奥さん、
私の怒りの理由がさぁ、
だって、機長は見事な腕前で着陸してくれたのよ、
それに遅れたのはまったくもって機長のせいじゃないのよ、
わたしゃ、感謝したいくらいなの、
なのに、なんだか、下りる頃にはものすごく怒っちゃってる私がいるの…。

火のないところに煙は立たないなんていうけど、
この場合まったくなんにもなかったのよ、
怒る理由は。

なのに、
なにがどうなったのか、
腹たって腹たってしかたがないという精神状態でね、

「バスなんか呼びやがって…」と、
にがりきっちゃった感じで、わたしゃ飛行機の階段を下りてたのよ、

してそのままバスに乗ったの。

バスはもう満員よ、

「なんだよ、この満員のバスわぁ!」

という感じでね、
こっちは、わけの分からん怒りの炎を燃やしながらバスに乗るでしょ、

したらバスの運転手さんがね、
プシューッとドア閉めてね、
ぶっきらぼうなさぁ、
気を使う気も無いようなぼそぼそ声でさぁ、
言うのよ、
ただひと言、

「はい、バス発車ぁ」

って、
言ったの、ぶっきらぼうに、

して、いきなり動かすの、
バスをよ、
して言うのよ、

「発車のさいゆれま~す」って、
言った瞬間、すんごいぐあいに揺れるの、バスが。

その時、その運転手さんのね、
その、ぶっきらぼうな言葉遣いと、
ぞんざいな対応にね、
私は、心底ホッとしてたの。
おかしなことを言うようだけど。

私の気持ちはもう素直に、
「よろしくおねがいしまーす」
みたいな感じでね、
身分の低い私として、
いつもどおりに対応してたのね。

そうしたらさぁ奥さん、
私の意味不明だった怒りが見事に鎮火してたのよ。
あんなに腹立ててたはずだったのに。
なんかそうだったの。
スッとしてホッとしたのよ。
鎖が解けたように。

私は思ったの、
きっとね、
「私が、あんなに丁重に扱われることに意味が無い」と、
私は、ずっと思っていたんじゃないだろうかとね。”

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